浦島(松江町2丁目)の人形を鳶職の方が
背負って鉾の上に上げる
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川越まつりの山車の最上部には、 人の体よりやや大きな人形が飾られます。この人形は、神は祭りの時に高い山のいただきに天降(あまくだ)るといわれていた名残で、その際神の目標となる高い柱(山)である標山(しのめやま)がその起源とされています。
各町内の人形は、翁や山王などのように能や舞楽から取り入れたもの、弁慶や浦島太郎などのように、歴史上や民話に登場するキャラクターの人形もあります。お面のある人形もあり、特に仲町の羅陵王のお面が有名です。人形の作者は、江戸で何代も続いた江戸人形師の名人の作品が多く、原秀月(はらしゅうげつ)、仲秀英(なかしゅうえい)、鼠屋豊斉(ねずみやほうさい)など、今日では数も少なく貴重なものとなりつつあります。
人形が鉾の上に出ている状態の
浦島(松江町2丁目)の山車
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埼玉県の文化財に指定されている山車の人形を見てみましょう。志多町は弁慶、喜多町は俵藤太、元町2丁目は山王、幸町(旧南町)は翁、幸町(旧鍛冶町)は小狐丸、仲町は羅陵王、大手町は鈿女(=天鈿女命)、松江町2丁目は浦島、六軒町は三番叟、今成町は鈿女(=天鈿女命)となっています。
山車は、主に人形の名前で呼ばれ、例えば松江町2丁目の場合は「浦島の山車」と呼ばれます。
人形は、山車の鉾の内部に格納され、せり上がるようになっています。鳶職の方が人形を体に縛り付けて背中に背負い、はしごを登って鉾の内部に運びます。人形は常に山車の上に出ているわけではありませんので、二重に組んだ鉾の上に人形がせり上がっていく時、周りの観衆からは歓声がもれます。そして、人形が山車の上に立つと、山車を包む緊張感がぐんと増すように感じられます。川越まつりに来られた際には、ぜひ各町内の人形に注目してみて下さい。
第1回変遷 第2回天下祭 第3回山車 第4回人形 第5回囃子・踊り 第6回ひっかわせ
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