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清々しい秋空の下、豪華絢爛な山車が蔵造りの町並みを練り歩く姿を見ていると、ここが「小江戸」であることに、あらためて気付かされます。夜の帳が下りると、提灯に灯が入り、山車は昼間とは違った表情を見せてくれます。 川越の街を囃子の音色が包み込む中、闇に浮かび上がる山車。その姿は幻想的かつ神秘的な香りさえ漂わせています。山車が多くの人々の心をとらえて止まないのは、山車が放っているオーラのようなものを無意識の内に感じ取っているからかもしれません。 川越の山車は、いわゆる鉾(ほこ)山車と呼ばれる形で、車輪が3つ、もしくは4つ付いています。車輪の上のせいご台に二重の鉾を組んで、上層の鉾の上に人形が乗る格好になります。下層の鉾から上層の鉾がスルスルとせり出す構造になっていて、さらに人形もせり出すようになっています。祭りの状況、山車のいる位置などに応じて、上げ下げを行います。
鉾の前面には、欄間(らんま)または唐破風(からはふ)の屋根がついた囃子台があり、ここで踊りと囃子が披露されます。そして、この囃子台と鉾の部分(せいご台から上の部分)は、自由に回転する仕組みになっています。この仕組みは、明治後期に川越で改良され、各町内の会所へのあいさつ、他町の山車と出会った時などに、すぐに山車の正面を向けられるようにと、工夫されたのだといわれています。四つ角などで山車同士が出会い(時には4、5台)踊りと囃子を披露し合う「曳っかわせ」の時にもこの構造が大活躍します。 多くの山車は、黒や赤の漆で塗られ、金箔をところどころに用い、欄間、破風、蹴込みなどには、手の込んだけやきの彫刻などがはめ込まれています。上下の鉾にはそれそれ幕を張りますが、煌びやかな縫い取りが施され、柄や色彩も実に多様です。山車の随所に職人の精巧な技の数々が盛り込まれ、豪華絢爛と形容される山車が形作られているのです。 各町内の山車は、それぞれに違いがあり、その趣もそれぞれ異なります。川越まつりにお越しになりましたら、ぜひ見比べてみてください。そして、あなたのお気に入りの山車を見つけてみてはいかがでしょうか。 |